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  • INTERVIEW

about THE INOUE BROTHERS…

極上の素材を使用したニットが毎シーズン人気の〈THE INOUE BROTHERS…〉。

今回はそんな秋冬には欠かせない〈THE INOUE BROTHERS…〉デザイナーの聡氏にインタビューをさせていただきました。

 

Photographer:Robert Lawrence

 

―全く違った職業の兄弟2人が、2014年に〈THE INOUE BROTHERS…〉を設立するようになったきっかけを教えてください。

 

聡:清史はヘアスタイリスト・僕は広告代理店にてアートディレクターとして働いましたが、2人にとってキャリアのピークであった2004年にブランドをスタートしました。

僕は広告代理店である案件の仕事をしていたのですが、納得いかずその仕事を辞めることを選びました。

清史が働いていたサロンもプロダクトを売る為のコマーシャル化が進んでいて、そこで働き続けることに悩んでいた時だったんです。

その時、ソーシャルデザインというものが脚光を浴びていたんですよ。

ソーシャルデザインというのは、デザインのスキルを使って社会に良いプロダクトを生み出すというもの。

それも皆が欲しくなるようなプロダクトを。

大量生産の為に安く物を作るのではなく、できるだけフェアトレード以上な条件で人を雇い、ローカルな地域に貢献する事。

僕らはそういったものにとても憧れを抱いていましたし、小さい頃から兄弟一緒に仕事をすることが2人の夢でした。

そんな時、僕の知り合いである大学教授が「ボリビアのアルパカを使用した先住民の暮らしぶりを見て欲しい」と打診してきたんです。

 

Photographer:Robert Lawrence

 

Photographer:Robert Lawrence

 

今思うと南米でも最も貧しい国のひとつであるボリビアは、カシミヤと同等の素晴らしい素材を持ったアルパカと暮らしているのにも関わらず、デザインとブランディングができない為に貧しさから抜け出せていないという問題提起をしていたのだと思います。

もう一つは、仲介業者があまりに高い利益を取りすぎていることが要因で先住民にはほぼ利益がない状態になっていたことが問題でした。

大学教授はそういった状況を変えたいと僕らに期待したのだと思います。

メゾンブランドにも劣らない素材のアルパカや現地の人々の素晴らしさに気づけたことでニットブランドをスタートしました。

そういった経緯でスタートしたので、最初からファッションを仕事にしたいわけではありませんでしたね。

 

―当時、コペンハーゲンには日本人を始め、アジア人がほとんどいない状況だったと別の記事でお見かけしたのですが、その当時のことを伺っても良いでしょうか。

 

聡:僕達のバックボーンが他のデザイナーと違うのは移民の子として生まれたこと。

70年代は色んな国に労働力が足りていなかったので、国がゲストワーカーとして人を招待してたんですけど、実態は歓迎されるどころか人種差別があちこちで蔓延していました。

もちろん僕らもそのカテゴリーに入っていたので、偏見や人種差別、いじめによくあっていましたね。

だから唯一安心できる環境が家族でしたし、いじめられることが嫌だったので毎日喧嘩ばかりしていたんですけど、清史と2人でいると勇気が出るし、実際強かったんです。

そんな過去があったから今の兄弟の絆があるのかなと思います。

その時に出来た友達も表面的な関係ではなく、今も繋がっていられるような濃い仲間が出来たことはそういった環境や状況じゃなければ得られないことだったのかな…。

アフリカのカルチャーやアラブのカルチャー、南米のカルチャーなど、色んな文化や宗教の人に出会えたことが今の僕たちのグローバル感に繋がっているのだと思っています。

 

―バブルニットがきっかけに〈COMME des GARCONS〉の川久保玲さんに気に入られ、ロンドンのDOVER STREET MARKETに出品することになったと聞いたことがあります。

 

 

Photographer:Robert Lawrence

 

聡:バブルニットは、ペルーのプロジェクトで行なった案件ですね。

現地で販売されているニットは驚くほど変な形をしているんです。

そういった国にはアドベンチャーで行く人が多い為、お土産を買う予算を持ち合わせていないことが多いです。

なので、上質なはずのアルパカにポリエステルを混ぜ込んで、安いニットをお土産として販売するという悪循環が出来上がっていました。

僕たちはその悪循環を絶つためにデザインを教えたら改善されるだろうと考えていたのですが、なかなか上手くいかず…結局商品化されるまでに2年間かかりましたね。

最初は3型ほどアイテムも用意がなくて…。

今思うとギリギリのレベルでニットとして成り立っていたなと思うんですが、その分現地の人の気持ちや努力が詰まった今までのファッションにはないピュアなアイテムだったと思います。

その商品を清史が着てサロンワークしているとお客さんとして来ていたDOVER STREET MARKETのスタッフが気に入ってくれて、「うちに置かないか?」と言ってくれたんですよ。

川久保玲さんも若かりし頃にアンデスによく旅に行っていたこともあり、すぐにブランドを好きになってもらえました。

それから周囲にニットブランドとして認知されましたし、自信に繋がりましたね。

ある意味僕らのブランドをデビューさせてくれたのも〈COMME des GARCONS〉でした。

 

―手編みの技術はどう現地の人に教えたのでしょうか。

 

聡:簡単なジャージーニットや簡単なリンクスなどは作れたのでが、編み地の詰め方やリンキングのスキルは現地の人も知らなかったんです。

技術はあってもどうコンビネーションするか現地の人にはその感覚がなかったんですね。

料理で言えば、塩や醤油、こしょうなどはあるけど、使い方が分からないので美味しい料理が作れないという状況でした。

もともと彼らが持っていた技術を理解して、ディレクションすることが2人の仕事だったのですが、今の製品に至るまでに5年程かかりました。

今となっては、ペルーで使っている工場はメゾンブランドを凌ぐ技術を身につけています。

現地で使用していた機械は日本製のものだったのですが、それは決してアルパカの素材を想定したものではありません。

しかし、現地の人が少しずつ改良を重ねてアルパカを編める機械に仕上げました。

今では日本の企業に現地の人が講師として呼ばれるようになっている程なんですよ。

南米では日本国内でいうヴィンテージカーが日常的に走っています。

貧しくて新しいものが買えないので”修繕・修理”を繰り返すうちにその技術が長けたのかもしれないですね。

今は変わりつつありますが…日本も昔は同じだったと思うんです。

勿論新品も良いですが、破れたりほつれたりした物を親しい人に直してもらうと愛着が湧きますよね?

だから〈THE INOUE BROTHERS..〉のニットは、解けたりしても修繕して大切に着続けて欲しいですね。

 

Photographer:Robert Lawrence

 

ファッションというのはもともと自分のトライバルを表現するもの。

アランニットは漁師が溺れて亡くなった時にその編み地の柄で出身や家を表す物だったんです。

パンクやヒップホップのスタイリングがそれぞれに意味があるように服が持つ本来の意味まで深掘りして着て欲しいと思っています。

市場はどんどんスピード感を増していますが、服の意味を知ることでひとつひとつを大事にするようになり、それがサスティナビリティに繋がっていく…そういったことをブランドを通して伝え続けていきたいですし、長く着たい物を作っていきたいですね。

 

―今回リリースするサワレコレクションに関して教えてください。

 

今回のコラボレーションは商品化するまでに、丸2年かかっています。

単なるダブルネームなどではなく、バイヤーやエディションスタッフの意見なども入った充実した内容であることが素晴らしいですし、僕らにとっても誇らしいことだと思います。

サワレは「触れ」を意味しています。

単純に「触ったら他との違いが分かりますよ」という内容になっているんですよ。

今回のサワレコレクションは、すべて無染色で仕上げています。

髪の毛などと同様、染色していない素材は染色した高級素材よりも遥かに柔らかく、触れた瞬間に違いに気づいてもらえると思います。

おそらく一度着たら来年もまた同じ物を着たいと思ってしまうじゃないかな…。

ナチュラルな物やエコなことということがプロパガンダではなく、こちら商品の方が良いんだということに気づいてもらえるようなブランドにしたいですよね。

オーガニックでない物が悪いのではなく、自然とオーガニックを選ばれるようになったら嬉しいですね。

すべて無線色で仕上げたコレクションは、僕らのブランドを始めてから初めての試みですが、今まで色んな方々に出会えて仲間になれたから作れたアイテムなんです。

アルパカには20色程の色味が存在しますので、それぞれを分けて同じ色味の物を製品化するというのは、現地に住む人々との関係性なしではなし得ません。

これまでしっかりと取り組んできたエディションと作り上げた物だから大切にしていきたいですね。

 

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―〈THE INOUE BROTHERS..〉とエディションとの取り組みが長いですが、今後したいことなどあれば教えてください。

 

何がしたいというよりは、一番大切なことはこの友情関係が続くことが大事です。

お金になるために仕事をしているわけではなく、仲間でい続けるために仕事をしています。

一緒にいることで、新しいアイデアが膨らんでいくと思うので、それが望みですね。

 

 

今回のインタビューを通してプロダクトの良さや拘りは勿論、2人の人柄がよりプロダクトに魅力を持たせるのだなということが理解できました。

このアイテムやブランドの良さを一人でも多くの方に共有したいと心から思うインタビューでした。

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